「六甲全山縦走路」関西はもちろん、全国の登山愛好家がチャレンジする公称56キロの登山コース。
初心者から中級者を対象にした年に一回開催される大会もあるらしい。
しかしどうだろう?初心者はこのコースを制覇するのは至難の技だと思うな・・・
六甲全山縦走路の魅力は何度も離脱できるポイントがあること。いくつもの低山を神戸の西側から登り、六甲山を経て同じ県内の宝塚市までのコース。神戸の街を貫く山々を歩くので、いつでも都会に下山できるし、途中からスタートすることもできる。そして交通の便もいい。
その点を鑑みれば“離脱が容易”ということで初心者も対象としているのかもしれないなと、そんなコースの一部を堪能する初級の初級編(旗振山〜高取山)にチャレンジしてきた!
この先読み進めない人のために心構え先に伝えます。
今から紹介するコースは富士登山も経験済みだけど、登山、いやハイキング初心者の私が1年ぶりくらいに登った山。六甲全山縦走路の3分の1にも満たないコースで、かなりヘトヘトになった経験談。でもとても面白い山なので、ここの段落だけでも参考にしてぜひ登って欲しい!
装備は下記の通り軽装でした。
〈良かった点〉手袋を持っていたこと!
〈ダメだった点〉靴が登山用でなかったこと↓
当日の天候によっては雨具も必須だし多少の食料もあった方がいい。
また途中かなり滑りやすい箇所がいくつもある。雨の日はもちろん、雨の翌日など泥濘みがある状態での登山はお勧めしません。危険!!
季節:1月初旬(最高気温:10度、多少の風あり)
服装:一番上の防寒着はユニクロライトダウン。インナーには登山用の肌着に長袖、ネルシャツ、冬用のランニングパーカー(パーカーは暑くて殆どの行程で着ていない)
装備:手袋、500mlの水、小さめのリュック
靴:マラソンのために購入した靴底しっかり目のスニーカー。
初めての人は、最低限ここまでのことは知った上で登って欲しい。
旗振山の登山口「塩屋」からスタート
登山口は現在の正式なコースだと「須磨浦公園」駅からになるけど、オススメは隣駅「塩屋」駅からの旧登山口。
塩屋は小さな路地の商店街を抜けて住宅にある急坂を登った先に登山の入口があるため、小さな商店街でお昼ご飯など食料を調達することもできる。
駅前に小さなコンビニの他、ピザとか、パン屋さん、コロッケ屋さん、昔ながらの豆腐屋で”とうふスティック”なる塩屋名物も買える。ただし朝早すぎると開店前の可能性大。今回は初心者のためのショートコース。出発も朝10時半頃ゆっくりスタートなので大体のお店は開いている想定。
また補足情報として、塩屋をゴールとして下山後に、塩屋に訪れたら一度は食べたい「ワンダカレー」で美味しいカレーを食するプランもおすすめ!
さて、塩屋からの一つ目の山「旗振山」は容易に登れる。すれ違う人々の軽装な姿から近所に住むお年寄りからファミリーまで散歩コースにしている様子が伺える。
山頂付近にアーチ型の建物が現れ、その先は公園として整備されている。そこから明石海峡大橋や神戸の西側の街並みを一望。アーチの向こうに広がる街並みと海と大橋はまず始めの見所スポット。
最初の絶景スポットから少し登ると旗振山山頂の「旗振茶屋」がある。茶屋で早くもひと息入れて、この先にある須磨アルプスの「馬の背」に続く400階段に備える。
400段階段から須磨アルプス「馬の背」へ
幼い頃に一度経験したことのある400階段からの馬の背ルート。とてもキツかった記憶。
しかしあの頃より富士山も登ったし多少は登山に親しんでいるから大丈夫だろうか?と旗振茶屋を出発し程なくして400階段に到達するとイメージしていたがそんな様子もなく・・・
結構歩いた頃に展望台「おらが茶屋」に到着。
ここの茶屋はコーヒーとカレーが有名だったらしいけど、現在は一時休業中とのこと。立派な建物なだけにまた再開して欲しいけど未定とのこと。
コースの先が見えてない私にはここまでの道のりが長く感じたけど、おそらくそれほどの距離感ではなくここまでは軽装でも平気な容易なハイキング。犬の散歩のような人にもすれ違った。
少し進むと急な下り階段に到着。今まで登ってきた山の尾根から一旦下界に降りる。
すでに疲れが出始めた超初心者の私。ここまででも十分ハイキング感覚で楽しめたし、神戸の街と海を見下ろす景観も堪能出来たし、途中離脱も可能。。と頭を過ぎったけどさらに先を進む。
いよいよ馬の背へと続く400階段へ。
静かなとても陽当たりの良さそうな団地を抜けて、山の麓にたどり着く。そうここが「栂尾山」への入口400階段だ。果てしなく続きそうな真っ直ぐな階段を見上げ、一歩踏み出す。今日は登山者が少なく幸い後ろに誰もいない。人一人分の幅くらいしかない階段を自分のペースでゆっくり登る。3分の一くらいまで登った所で息が切れ立ち止る。振り返ると眼下の街並みとさっきまで居た山々が見える。
そして少し下に登ってくる人影。やばいこのペースだと後ろの人の邪魔になる。少し先に見えるベンチに逸れ、一息。後ろの人を遣り過ごし、ゆっくりしたペースで登り切った。
苦行だった。この先すぐに馬の背があるイメージを持っていたけど、階段ではない登りの山道が続く続く。所々岩場のような道を四つん這いになりながら登っては下るような場所も経て、ここで念のために持ってきていた手袋が大いに役に立った。
この辺りは風化の進んだ花崗岩らしく滑りやすい。神戸の低山だからと甘くみていた私は登山用ではないスニーカーを履いていたから滑らないかと冷や冷やしながら、下りはなるべく姿勢を低く時よりお尻をつきながら下った。
そんな思いをしながら岩場を上り下りするような道の先にようやく現われた「馬の背」
何十年ぶりのトライだろうか?一歩踏み外せば大変なことになりそうな崖の道を進む。本当に靴失敗したなと思った。子供の頃は両サイドに簡易的な柵のようなものがあった記憶だが、記憶違いだろうか?たずさえる場所もなく、滑ったら終わり!と思えるポイントを通過しアトラクション感覚で無事馬の背を征覇。
登山に慣れている人からは少し大げさに感じるかもしれないけど、ある程度の装備は必要だと強く言っておきます!
街歩き用のスニーカーや、靴底がすり減った靴は絶対にやめてください。滑ります。
本日最後の山「高取山」へ
馬の背を終えて再び下界へ。住宅街を抜け次が本日最後の山「高取山」これまでの山の中で最も高いらしい。
もうすでに疲労困憊と馬の背に行ったことでの満足感から再び離脱が頭を過ぎったが、最後のひと登り頑張ることにした。
しかしこれが思いの他、今日最高にきつい時間で、今までの疲労もあってのことだといえ、あともうひと息で頂上という登り道で富士山を思い出す牛歩の様相に。
多くの登山者に先を譲りながら一歩一歩しか登れない。300m程度の低山で情けない姿に、途中で追い抜いていく登山者に励まされながらなんとか頂上付近に。
ようやくなだらかな尾根を進むと頂上には高取神社が鎮座。無事の登頂に感謝の参拝をしました。
この日は年始早々ということもあり多くの参拝客が普段着でお参りしている。表参道の山道はそれほどキツくないのだろうか?と疑問に思いながら、表山道を逆走するように高速長田駅をめがけ下山。決してラクでは無さそうな参道。息を切らせながら登る地元の老若男女の参拝者にすれ違いながら、毎年この道のりを経ての参拝、なんだかご利益がありそうだなと感じた。
今回の登山で悟った山の備え
下山の道中、珍しく膝が痛む。今回のコースは単なる登り下りでなく、いくつもの低山を超えるためアップダウンが結構多く、加えてちゃんとした靴でなかったことでの不安定な足運びによって変な力が膝の負担になったようだった。
今回を期に登山靴を買おう、どんな山でも手袋は持っていこうと、また新たな山で必要な備えを知ることができた山登りだった。
風光明媚な神戸の景観を何度も眺めることができる今回のコース。備えは万全にしながら、エンタテイメント的に堪能できる初心者にはとってもオススメの”六甲全山縦走の序盤コース”初級の初級「旗振山〜高取山」でした。