優香という女優に感服〜酒と涙とジキルとハイド感想〜

とても上からでとても失礼だとは思いながら、正直に優香さんの舞台を初めて観た感想を記したいと思います。

苦手なタレント優香について

三谷さんの作品は積極的にチケットを入手して観に行くことが多く、その行く行かないの判断で重要なのはキャスト。今回の出演者は女性は一人で、優香さんでした。しかし私の彼女の印象は大変失礼ながら、タレントが少しだけ女優もやっているという印象しかなく、本当に正直申し上げると、今回のキャストの中で唯一残念だな・・・と思っていました。もっと申し上げるとあまり好きではなく、もっと申し上げるとテレビに出ていたらチャンネル変えるくらい、なんの根拠もなく苦手なタレントでした。
それでも今回この作品を観に行こう!と決めたのは他のキャストがあまりに良かったから。
特に藤井隆吉本新喜劇からの大ファンなので、彼の新喜劇以外の舞台をぜひ観てみたかったからです。

あらすじについて

 さて今回戯曲の題材となっている「ジキルとハイド」。二重人格が登場する話しで善と悪がどうのこうの・・・という程度の知識しかありませんでした。
あらすじくらいはとチェックしたところ、少女への暴行や殺人などが出てくる、全体としてはホラーサスペンスといった印象の物語です。
そんな作品を題材に三谷幸喜がコメディとして戯曲化したのが今回の「酒と涙とジキルとハイド」。その場しのぎ系のドタバタコメディが得意な三谷さんだから、きっと二重人格の主人公が善と悪に何度も入れ替わる必要に迫られ、騙す側なのに、騙される側にすっかり翻弄されるといったお話だろうなと想像しながら、いざ観劇へ!
案の定大体の設定は予想通りで、騙す側と騙される側がいてお話が進行していきます。騙す側が主人公ジキル役の片岡愛之助、それに協力するのがハイド役の藤井隆、ジキルの助手役が迫田孝也。そして騙される側が、ジキルの婚約者役の優香。彼女の振舞いに翻弄される主人公達、そして徐々に明らかになる真実とは!といった具合のストーリーです。

「酒と涙とジキルとハイド」感想

さすが三谷幸喜の作品。「ジキルとハイド」という題材をうまくコメディへ昇華させ、単なるコメディではなく、大なり小なり人間が持つ二面性を、そしてそのことで上手く心を開放出来ない人間の苦悩といった人間ドラマも描いていました。

魅了された女優 優香について

そして本題ですが、私が今回最も驚いたのが、優香の演技力です!
幕が開き、優香演じるイヴの台詞から始まります。舞台が始まるあの独特のピリッとした空気の中に心地よく響き渡る声。一気に物語の中に引込まれました。
もし優香がキャスティングされていることを知らなければ、そこに立っているのが優香だとは分からなかったと思います。そこには堂々たる舞台女優が居ました。そしてその風格のまま、魅力的な女性イヴを演じきり、私も含め観客をすっかり魅了していました。
意外でした。彼女に苦手意識があったので、普段まったく注目していなかったとはいえ、まさかこんなにお芝居が上手な方だとは思っていませんでした。本当に失礼な言い方ですが、相当努力されたのか、舞台をやることで才能が開花したのか。
もう長年に渡り脳内にインプットされた苦手意識はそう簡単には消えませんが、タレント優香は女優なんだ!!という認識に変わりました。

最後に

舞台を観ると、テレビや映画では分からない役者の魅力に気づかされることは度々ありますが、今回ほど驚かされたのは初めてです。勝手に敗北感です。何も知らないのに批評はよくないと痛感した舞台でした。

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