私がこの舞台作品に興味を持った理由は、“団地”が舞台である点、そして団地が実際に”神戸にある団地と同じ名前”だからです。昔、よく遊びに行った団地でした。神戸の街が一望できる高台にあって、作・演出の蓬莱竜太が神戸出身ということは、あの団地に所縁があり、そこでの思い出に着想を得ているのでは?という興味からです。作品の中では、実際に阪神淡路大震災を想起させるシーンも、地理的表現も私が知っている団地周辺によく似ていたので、90%くらい正解!と勝手に決めつけています。
あらすじ(ネタバレしないように簡単に)
【概要】
タイトル「渦が森団地の眠らない子たち」
作・演出:蓬莱竜太
出演:藤原竜也 鈴木亮平 奥貫薫 木場勝己 他
母と小学生の兄妹3人家族が、とある団地に越してきた。その家族にとって訳あり一家が暮らす団地。特にその影響を大いに受けるのが鈴木亮平演じる田口圭一郎。同じ団地に住み、団地の子供たちの間でキングと呼ばれるガキ大将の佐山鉄志(藤原竜也)と出会う。同い年であり、ある因縁から2人は親友として団地での日々を過ごすが、ガキ大将である鉄志と仲間たちとの主従関係が崩れはじめ勢力図に変化が。そして圭一郎へと、鉄志との戦いが始まる。
感想
「団地大河ドラマ」を謳っていたので、子供の頃から老人になって団地の高齢化問題など現代の社会課題に繋がるような、主人公たちの視点で時代の流れとともに描く壮大な団地ドラマか思っていましたが、“大河”の意味はNHK大河ドラマによくある軍師たちによる“戦”のことでした。やや、キャッチコピーにより期待させ過ぎ、なところがあります。
でも、舞台を駆け回る子供たち(役の上で)の姿は、とてもシンプルなセットにも関わらず本当の団地の風景が見えるようで、よく練られたセリフに演出。これが舞台の醍醐味だと感銘を受けました。そして何より藤原竜也です。キャラづくりが素晴らしく、いかにも“キング”であり、御山の大将 佐山鉄志(藤原竜也)に魅入ってしまいます。
もう1人田口圭一郎(鈴木亮平)はネタバレになるので詳しくは書きませんが、、にしては存在が薄かったな・・・
私が観るきっかけにした“神戸の団地”については特に言及はありませんし、言葉遣いが関西弁ということもなく、地震の表現でそうかも?と勘付く人がいても、あくまでも架空の舞台なのであまり関係はありません。
あともう一つ、観るきっかけにした“団地”をテーマにしたことに関連して、私が大好きな団地もので映画“どこまでもいこう”という作品を彷彿とさせました。団地に暮らす子供たちがそれぞれ日常で起こる誰もが経験するクラス替えや、思いもしなかった理不尽な出来ごとにぶつかりながら成長していく姿を描く団地青春ドラマです。「渦が森・・・」も大河といより青春の方がしっくりいくなと、この「どこまでもいこう」を思い出しました。
映画「どこまでもいこう」は、「渦が森団地の眠れない子たち」が好きなら、本当にオススメ映画です。またの機会に紹介しますのでぜひ!
観劇の前に余談ですが・・・
これは新国立劇場の場合ですが、私は当日券を購入しました。
スタッフの方に注釈つきの席(同料金で一部見えにくいシーンがある)を薦められ、前から4列目くらいの両サイドがその注釈つき席にあたりますが、”上手側(演者視点)はほとんど見切れることなくとてもお薦めだ”と。私は最近視力が低下している事情もあってそれなら前方の席の方が・・と誤った判断をしてしまいました。
舞台のセットとして、上手側に演者が腰掛けたりするセットがあり、その向こう側で寝転がったり、そもそも子供たちなので地面に転がるシーンが度々。その時は何をやっているのか見えません。音響も難あり??スピーカーが横すぎたのか、セリフが所々聞きづらいことがありました。舞台全体をしっかり観たい人は、後方でもそちらの方が絶対にお薦めです。
スタッフに薦められた席は、かなり前方なので藤原竜也や、鈴木亮平の顔をじっくり観たい人用です。スタッフの人もそのように薦めて欲しいです。
まとめ
・舞台の団地は実際に神戸にある団地がモデルかも!?でも物語には関係ない。
・藤原竜也の小学生役がかなり見所。
・団地大河ドラマ?というより団地青春ドラマ。
・同じ団地を舞台にした映画「どこまでもいこう」お薦めします!
・当日券なら注釈付きの前方席は薦められてもやめておいた方がいい。
(キャストを近くで見たい人以外は)
ということで、私が観た座席が少しイマイチだったことで、本来感じたかもしれない作品としての熱量が、演者のすぐ近くだったにも関わらずこちらまで伝播してこなかったのが正直な全体としての感想です。
なので、本筋とは少し違った角度のレビューとしてまとめさせて頂きました。
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